Cloudflare Workers と AWS Lambda/RDS による低遅延・高スケーラブルなマルチクラウド構成の最適化
グローバル展開する B2C アプリケーションにおいて、エッジでの高速レスポンスと、AWS 上の既存データ資産の活用を両立させる必要があります。この記事では、Cloudflare Workers と AWS Lambda/RDS を組み合わせたマルチクラウド構成の最適化について解説します。
技術的な背景
従来、AWS CloudFront + Lambda@Edge を使用してグローバル展開する B2C アプリケーションを構築していました。しかし、コールドスタートが遅く、グローバルでの動的コンテンツ配信にオーバーヘッドがありました。また、全てのトラフィックを AWS リージョンへ集約すると、物理的な距離によるネットワーク遅延(RTT)がユーザー体験を損ねていました。
そこで、Cloudflare Workers と AWS Lambda/RDS を組み合わせたマルチクラウド構成を採用しました。この構成では、エッジでの高速レスポンスを実現しつつ、AWS 上の既存データ資産を活用することが可能です。
アーキテクチャ・構成
以下は、採用したアーキテクチャ・構成の概要です。
- フロントエンド: Cloudflare Pages (Next.js / Remix)
- エッジコンピューティング: Cloudflare Workers (認証・キャッシュ制御・ABテスト)
- データベース接続: Cloudflare Hyperdrive を経由した AWS RDS (PostgreSQL) への接続高速化
- バックエンド: AWS Lambda (複雑な業務ロジック、他 AWS サービスとの連携)
実装の詳細
以下は、実装の詳細です。
- Cloudflare Hyperdrive を使用し、AWS VPC 内の RDS に対するコネクションポーリングを最適化しました。
- mTLS (Mutual TLS) を使用して Cloudflare と AWS API Gateway 間の通信を保護しました。
- Workers から AWS SDK を使用して、S3 や DynamoDB へ直接アクセスする際のエッジ認証実装を行いました。
// Cloudflare Worker から Hyperdrive 経由で AWS RDS (PostgreSQL) に接続する例
export default {
async fetch(request, env) {
const client = new Client(env.HYPERDRIVE.connectionString);
await client.connect();
const result = await client.query('SELECT * FROM users WHERE id = $1', [userId]);
return Response.json(result.rows);
}
}
ベストプラクティス
以下は、ベストプラクティスです。
- 読み取り専用データは Cloudflare KV や Cache API を積極的に活用し、AWS へのオリジンフェッチを最小化します。
- AWS 側のセキュリティグループで Cloudflare の IP レンジのみを許可し、オリジンプロテクションを徹底します。
- 秘匿情報は Cloudflare Workers Secrets で管理し、AWS IAM User/Role の一時クレデンシャルを活用します。
検証中の苦労
以下は、検証中の苦労点です。
- Cloudflare と AWS 間のリージョン間遅延の測定と、どの処理をエッジに寄せるべきかの切り分け判断。
- VPC 内のプライベートな AWS リソースにアクセスするための Cloudflare Tunnel のセットアップと帯域設計。
運用上の課題
以下は、運用上の課題です。
- Cloudflare と AWS 両方のインフラを管理するための Terraform (IaC) の複雑化。
- 両プラットフォームにまたがるリクエストの分散トレーシング(ログの紐付け)の難しさ。
次にやってみたいこと
以下は、次にやってみたいことです。
- Workers AI を活用して、AWS S3 に保存された画像データのベクトル化・検索機能をエッジ側で実装する。
- Durable Objects を用いたエッジ側でのリアルタイム・ステート管理の導入。
この構成は、既存の AWS 資産を活かしつつ、フロントエンドのパフォーマンスを最大化したいエンタープライズ企業に最適です。